「犬を飼っているから空き巣は入ってこないはず」——愛犬・愛猫と暮らす人の多くが、なんとなくそう思っています。実際、警察庁の調査でも「住人が犬を飼っていた」ことは侵入をあきらめる理由の一つとして挙げられています。しかし、その効果はすべての犬・すべてのペットに当てはまるわけではありません。この記事では、公的機関や警備会社の調査データをもとに番犬効果の実態を検証し、効果が出やすい条件と出にくい条件、そして防犯カメラなど追加対策の必要性まで解説します。
結論:番犬効果はある。ただし「効く犬」と「効かない犬」がいる
結論から言うと、犬を飼っていることは空き巣に対して一定の抑止効果があります。警察庁の調査を紹介するALSOK・関電SOSのコラムでは、侵入者が犯行をあきらめる要因の一つに「住人が犬を飼っていた」ことが挙がっているとされています。ただし効果が出るのは、見知らぬ人が近づくと吠えて警戒する犬に限られます。人懐っこい性格の犬や、番犬として訓練されていない犬では、侵入者にとって脅威にならないケースが実際に報告されています。犬種や性格による差が大きい対策だという前提で読み進めてください。
警察庁データで見る「侵入をあきらめる理由」と犬の位置づけ
ALSOK「HOME ALSOK研究所」のコラムでは、警察庁のデータを根拠に「"住人が犬を飼っていた"ことが空き巣が犯行をあきらめる要因として挙げられています」と説明されています。関電SOSのコラムでも同様に、「警察庁住まいる防犯110番」の情報として「侵入者が犯行を諦める要因として『犬を飼っていた』という理由も挙げられている」と紹介されており、複数の警備会社が同じ警察庁データを根拠に番犬効果を裏付けています。関電SOSはさらに、「犬は見知らぬ人物が近づくと、吠えたり動き回ったりして侵入者を威嚇することが多いです」と、効果の理由についても触れています。
侵入犯罪の対策では「音」「光」「時間」「人の目」という4つの要素が犯行を思いとどまらせる原則として知られており、犬の鳴き声はこのうち「音」と「人の目(気づかれるリスク)」の両方に働きかけます。なお、侵入に時間がかかるほど犯行をあきらめる確率が上がることも広く知られており、鍵まわりの補助錠やセンサーと組み合わせる発想が重要です(玄関の防犯グッズおすすめはこちら)。
「吠える犬」だけが効く——友好的な犬では侵入を許した実例も
番犬効果には大きな条件が付きます。ALSOKのコラムは「ただし、効果的なのは"見知らぬ人が来ると吠えて威圧するタイプの犬"に限定されます」と明確に釘を刺しています。同コラムでは東京での実例として、大型犬2匹を含む3匹の犬がいた家で約1,500万円相当の貴金属が盗まれた事件を紹介し、「犬は人懐っこい性格で空き巣が侵入しても番犬としての役目は果たせなかった」と説明しています。犬の頭数や体格が多くても、性格次第で防犯効果がまったく発揮されないことを示す事例です。
さらに、訓練された番犬であっても万能ではありません。ALSOKは猛犬注意ステッカーに関するコラムで「経験豊富な空き巣の中には、ステッカーの存在から犬の有無を特定しようと試みる者もいる。実際には犬を飼っていない場合、長期間の観察によって実情が判明してしまうことがあり、逆に標的にされやすくなるリスクがある」と注意を促しています。加えて、ALSOKの番犬コラムでは「訓練された犬でも、犬に慣れている不審者に餌付けをされれば、警戒心が薄れてしまう可能性がある」とも指摘されており、犬任せの防犯には限界があることがわかります。
猫・小動物には番犬効果を期待できない——ただし「センサー代わり」にはなる
犬以外のペットについてはどうでしょうか。防犯情報サイトhome-secure.jpのコラムでは、「犬ほど防犯対策にも威力を発揮できるペットはいない」としたうえで、「犬以外のペット(猫やハリネズミなど)には防犯効果が期待できない」と明記しています。猫や小動物は見知らぬ人に対して威嚇したり吠えたりする習性を持たないため、侵入者への直接的な抑止力にはなりにくいというのが実情です。
一方で、猫や小動物にも別の形での活用余地はあります。防犯情報メディア「セキュアル防犯ナビ」のコラムは、「ペットは"リアルタイムに異常を知らせてくれるセンサー"のような役割を果たしてくれます」と述べ、「IoT機器の防犯センサーを使えば、ドアや窓の開閉、人の動きなどを検知してスマホに即通知」でき、「センサーの通知とペットの反応がリンクすれば、『何か異常があったかもしれない』と判断しやすくなります」と説明しています。つまり猫や小動物は侵入者を威嚇する存在ではなく、見守りカメラと組み合わせて異変に早く気づくための「もう一つの目」として活用する発想が現実的です(ペット見守りカメラおすすめ5選はこちら)。
番犬・防犯グッズの抑止力比較
| 対策 | 抑止力の根拠 | 費用感 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 番犬タイプの犬 | 見知らぬ人への威嚇・鳴き声(警察庁データで根拠あり) | 飼育費が継続的にかかる | 効くのは吠える犬のみ。友好的な犬・猫は効果薄い |
| 猛犬注意ステッカー | 犬がいるという心理的プレッシャー | 数百円程度 | 犬を飼っていない場合、観察で見抜かれ逆効果になるリスクあり |
| 見守り・防犯カメラ | 録画による証拠化と設置の可視化による威嚇 | 数千円台〜(クラウド録画は月額あり) | 設置場所・画角の調整が必要 |
| ホームセキュリティ | 異常検知と駆けつけによる物理的な対応 | 初期費用+月額費用 | 契約・工事が必要でコストは対策の中で最も高い |
番犬に向いている犬種・向いていない犬種
ALSOKのコラムでは、警戒心が強く番犬に向く犬種として、ジャーマン・シェパード、ドーベルマン、エアデール・テリア、コリー、ボクサー、ゴールデン・レトリバーを挙げています。関電SOSのコラムでは、ジャーマンシェパード、ドーベルマン、ウェルシュコーギー、エアデールテリア、ボーダーコリー、ボクサー犬、柴犬を効果的な犬種として紹介しており、出典によって挙げられる犬種は多少異なります。共通しているのはジャーマン・シェパードやドーベルマンで、関電SOSは「忠誠心も強く能力が高いため、番犬には適している」と説明しています。一方、人懐っこい性格で知られる犬種は、体格が大きくても見知らぬ人に対して吠える・威嚇するといった行動が出にくく、番犬としての効果は限定的になりやすい点に注意してください。すでに飼っている犬の性格を変えることは難しいため、犬種選びの参考情報として捉え、今から飼う犬を選ぶ段階の人以外は、次章の追加対策で補う考え方が現実的です。
ペットを飼っている家庭が油断できない3つの理由
- 友好的な犬・訓練されていない犬では効果が出ない——前述の1,500万円被害の実例のとおり、頭数や体格に関わらず、吠えて威嚇する行動が伴わなければ抑止力にならない
- 留守中は犬も無力になりやすい——家族が外出している間、犬だけが在宅していても、通報や物理的な対応はできない。異変をすぐに把握する手段が別途必要になる
- 餌付けや事前の観察で警戒心が薄れることがある——訓練された犬であっても、不審者が事前に接触して慣れさせてしまえば、本来の威嚇行動が出なくなる可能性がある
自宅がどの程度侵入リスクにさらされているか整理したい場合は、セルフチェックも参考にしてください(空き巣に狙われやすい家の特徴セルフチェックはこちら)。
ペットの防犯効果を底上げする追加対策
1. 見守りカメラで留守中の異変を把握する
犬が吠えても、家族が外出中であれば気づくまでに時間がかかります。ペットの動きや鳴き声を検知してスマホに通知する見守りカメラを併設すれば、侵入者への威嚇効果に加えて、異常発生時点での映像記録も残せます。屋内用のペット見守りカメラは、留守番中のペットの様子確認と防犯の両方を兼ねられる点が利点です。
2. 猛犬注意ステッカーは「実際に犬がいる場合」に限定して使う
猛犬注意ステッカーは、犬を実際に飼っている家庭であれば警戒感を補強できますが、ALSOKが指摘するとおり犬がいないのに貼るのは長期観察で見抜かれるリスクがあります。すでに犬を飼っている家庭は、玄関や門扉など見えやすい位置に貼ることで威嚇効果を後押しできます(防犯シール・ステッカーの効果とはこちら)。
3. 屋外の死角を減らして「侵入されにくい家」に近づける
番犬効果は侵入者が家に接近した段階で働く対策です。それより手前の段階で近づきにくくするには、玄関・勝手口・窓下などの死角を減らすことが有効です。人感センサーライトを併用すれば、犬が反応する前に侵入を試みる人の姿を照らし出せます(防犯センサーライトは逆効果?注意点はこちら)。
まとめ:こんな人におすすめ
犬を飼っていることは、警察庁データでも裏付けられた一定の防犯効果がありますが、その効果は「吠えて警戒する犬」に限られ、人懐っこい犬や猫・小動物には同じ効果を期待できません。すでに犬を飼っていて番犬効果に期待したい人は、猛犬注意ステッカーで威嚇効果を後押ししつつ、留守中の異変にすぐ気づける見守りカメラを組み合わせるのが現実的です。猫や小動物を飼っている人、あるいは犬が友好的な性格の人は、ペットの威嚇力をあてにせず、見守りカメラとセンサーライトによる物理的な対策を中心に考えてください。



