災害で避難する間、自宅は大丈夫?留守中の空き巣から家を守る備え【2026年】

大きな地震や台風の接近で「避難した方がいいかもしれない」と感じたとき、頭に浮かぶのは持ち出し袋の中身や家族との集合場所が中心になりがちだ。だが避難で家を長時間空けると、もうひとつの心配が生まれる。留守だと分かった自宅が空き巣に狙われるリスクだ。2026年7月の熊本県の地震では、避難で不在になった住宅を狙ったとみられる被害の申し出が発生から1週間余りで約30件寄せられた。この記事では、避難までの残り時間別にできる防犯対策と、避難中も自宅の様子を確認できる備えを整理する。

災害後、なぜ「避難中の家」が空き巣に狙われるのか

2026年7月28日16時27分、熊本県宇城市と八代郡氷川町で最大震度7を観測する地震が発生した(気象庁「令和8年熊本地震」ポータル)。震度7の観測は2024年の能登半島地震以来、熊本県内では2016年の熊本地震以来10年3か月ぶりだった。この地震では、避難で留守になった住宅の物色形跡や不審者の目撃情報が、宇城署管内だけで発生から1週間余りの8月5日までに約30件寄せられている(日本経済新聞)。上天草市では住宅からエアコン室外機を盗んだとして男が逮捕される事例も報じられた。

2016年の熊本地震でも同様の傾向が確認されている。防災科学に関する研究機関の分析では、震災前後で窃盗全体は前年より減少した一方、空き巣に限っては震災のあった年の4月・5月の認知件数が統計的な予測範囲の上限を上回った。被災地住民561人へのアンケートでは、震災前1年間の空き巣被害報告が0人だったのに対し、震災後1年間では3人が被害を報告し、いずれも震災から2か月以内に集中していた(防災科学研究所紀要 vol.45)。なお、この3人は全員、被害を警察に届け出ていなかったという回答も含まれており、実際の被害は統計に表れる件数より多い可能性がある。

狙われやすくなる理由は主に2つある。1つは地域の警察力やパトロールが被災対応に追われ、平時より手薄になること。もう1つは、避難の慌ただしさで施錠を忘れたり、住宅の損壊で無施錠状態の建物が増えたりすることだ。警察庁「令和6年の刑法犯に関する統計資料」でも、住宅対象の侵入窃盗のうち47.8%が「無締り」、つまり鍵のかけ忘れが原因とされている(ALSOKの解説記事より)。平時でも災害時でも、最も多い侵入経路は「開いたままの鍵」だという点は変わらない。

避難までの残り時間別 防犯対策チェックリスト

地震のように予兆なく避難が始まる場合と、台風のように数時間の猶予がある場合とでは、できる対策の量が違う。状況に応じて優先順位をつけておく。

状況 最優先で行うこと 時間があれば追加で行うこと
地震直後・すぐ避難する場合 玄関ドアの施錠を確実に確認する ガスの元栓を閉め、ブレーカーを落とす
台風接近・数時間の余裕がある場合 全ての窓と雨戸を施錠し、貴重品を持ち出し袋にまとめる タイマー式ライトをセットし、家具で窓を補強する
数日以上の避難が見込まれる場合 補助錠で二重ロック化し、カーテン・雨戸を閉め切る 近隣や自治会に声をかけ、SNSへの投稿を控える

地震のように猶予がない場合は、まず玄関の施錠だけは確実に行う。台風のように数時間の猶予がある場合は、この後の対策を1つでも多く積み重ねる時間がある。

今すぐできる施錠と窓まわりの対策

補助錠で「もう1ロック」を作る

玄関ドアの補助錠は平時の防犯対策の基本でもある。侵入に5分以上かかると諦める空き巣が多いとされ、補助錠を1つ追加するだけで在宅・不在にかかわらず侵入のハードルが上がる。工事不要の後付けタイプなら賃貸でも設置できる。窓の補助錠と合わせて、避難前の5分でできる対策として覚えておきたい。玄関まわりの対策全般は玄関の防犯対策おすすめガイドで詳しく解説している。

雨戸・シャッターがなければ窓に一手間かける

雨戸やシャッターがある家では、避難前に必ず閉め切る。ないマンションや戸建てでは、窓ガラスに防犯フィルムを貼っておくと、ガラス破りに時間がかかるようになり抑止効果が期待できる。地震で住宅の一部が損壊した場合、割れた窓やサッシの隙間がそのまま侵入口になりうる点にも注意したい。

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「留守を悟らせない」工夫で狙われにくくする

避難中の家が狙われる一因は、外から見て留守だと分かってしまうことだ。ポストに新聞や郵便物がたまり、夜も真っ暗な家は「しばらく戻らない家」だと知らせているのと同じになる。タイマー式のライトを1つでも玄関や窓際にセットしておくと、日没後に自動点灯し在宅を装える。既存の防犯ライト・タイマーの選び方は防犯ライト・タイマーの使い方の記事にまとめている。

新聞を取っている場合は配達の一時停止を申し込み、宅配便は日時指定に切り替えるか、しばらく届かない旨を近隣に伝えておく。SNSに「避難所にいます」「しばらく自宅を空けます」といった投稿をすると、留守を広く知らせることになるため、避難中の投稿は控えるか位置情報を付けないようにする。防犯シール・ステッカーの抑止効果については防犯シール・ステッカーの効果を解説した記事も参考にしてほしい。

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避難中もスマホで自宅を確認できる備え

避難所や親戚宅にいても、自宅の様子が気になって落ち着かないという声は多い。屋外用の防犯カメラをスマホと連携させておけば、通知が来たときだけ映像を確認できる。停電時にも一定時間はバッテリーで動作するモデルや、通信がWi-Fiではなく携帯回線(SIM内蔵)で完結するモデルは、被災した状況でも記録が途切れにくい。設置場所や解像度の選び方は屋外用防犯カメラのおすすめ記事で比較している。

スマート玄関錠を導入していれば、避難所からでも施錠状態をアプリで確認でき、「鍵を閉め忘れたかもしれない」という不安をその場で解消できる。賃貸でも使える後付けタイプはスマートロックの比較記事で紹介している。

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警備会社の「留守中サポート」という選択肢

頻繁に避難を意識する地域や高齢の家族が同居している家庭では、警備会社のホームセキュリティを平時から契約しておくという選択肢もある。セコム・ホームセキュリティの戸建てプランは、月額7,700円(税込8,470円)・工事料63,600円(税込69,960円)のレンタルと、月額4,700円(税込5,170円)・買取システム料金431,600円(税込474,760円、工事料込み)の買取から選べる(※2026年8月時点、セコム公式サイトで確認)。契約中は非常ボタンでの通報のほか、異常を検知すると駆けつけ員が急行する体制が24時間続く。

契約者向けの「あんしんサポート」では、ポスト投函物の回収や家の外まわりの見回りを1回3,300円(1時間まで)で依頼できる。数日単位の避難で郵便受けがあふれるのを防ぐのに使える。1年以上家を空ける見込みがある場合は、通気・通水やポスト投函物の宅内保管を含む長期不在宅サービス(月額10,450円)も用意されている。料金は改定される場合があるため、契約前に必ず公式サイトの最新情報を確認してほしい。ホームセキュリティ全体の評判・料金比較はセコム・ホームセキュリティの評判・料金まとめで解説している。

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避難所に持ち込む貴重品の防犯

自宅の対策と同じくらい重要なのが、避難所や車中泊の場での貴重品管理だ。避難所は人の出入りが多く、荷物を置いたまま離れる時間もできやすい。現金・通帳・印鑑・貴金属といった換金しやすい物は肌身離さず携帯し、就寝時もリュックごと体の近くに置く。荷物には目立たない場所に名前を書いておくと、混雑した避難所での取り違えや紛失時の識別に役立つ。マイナンバーカードや保険証番号は、写真に撮ってスマホに保存しておくと、紛失時の再発行手続きがスムーズになる。

万一空き巣に入られた場合の補償については、火災保険の家財補償に盗難がセットされているケースが多いが、契約内容によって免責額や補償範囲が異なる。加入済みの保険で何が補償されるかは、避難が現実味を帯びる前に確認しておきたい。申請の流れは空き巣被害と保険の申請方法を解説した記事にまとめている。

まとめ:災害前に備えておきたい防犯チェックリスト

避難が現実味を帯びてから対策を考え始めると、荷造りに気を取られて防犯まで手が回らなくなりやすい。平時のうちに次の3点だけでも準備しておくと、いざというとき数分の行動で済む。

  • 補助錠・防犯フィルムなど、鍵をかけ忘れても侵入に時間がかかる仕掛けを事前に用意しておく
  • タイマー式ライトやスマホ連携カメラなど、留守を悟らせず外から様子を確認できる機器を導入しておく
  • 頻繁に不在が心配な家庭は、警備会社の駆けつけサービスや留守中サポートの利用を検討しておく

災害はいつ起きるか分からない。避難という非常時にこそ、施錠と貴重品管理という基本の防犯対策がものを言う。

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