「身に覚えのない請求がカード明細に載っている」「使っていないはずの店舗名で決済されている」——クレジットカードの不正利用に気づいた瞬間は、誰でも動揺します。しかし対応の順番を間違えると、被害が広がったり、補償を受けられなくなったりすることがあります。この記事では、不正利用に気づいたときに今すぐやるべきことを順番に整理し、補償を確認する際のポイントと公的な相談窓口をまとめました。

クレジットカードが不正利用されたら今すぐやること

不正利用に気づいたら、次の順番で対応します。慌てて複数のことを同時に進めようとすると情報が抜け落ちやすいため、1つずつ確実に進めてください。

1. カード会社に連絡してカードを利用停止する

最優先は、カード会社への連絡によるカードの利用停止です。多くのカード会社は、カード裏面に記載された紛失・盗難専用窓口を24時間受け付けています。連絡する際は、本人確認情報(氏名・生年月日・カード番号など)と、不審な取引の内容(日時・金額・加盟店名・国内か海外か・実店舗かネット決済か)をできるだけメモしてから電話すると、手続きがスムーズです。

2. 利用明細を確認し、不審な取引を記録する

カード会社のアプリやWeb明細で、直近の利用履歴をさかのぼって確認します。身に覚えのない取引が複数ある場合は、それぞれの日時・金額・加盟店名をスクリーンショットやメモで残しておきます。この記録は、後述する補償申請や警察への相談の際に必要になります。

3. 必要に応じて警察に相談する

利用停止の連絡と並行して、最寄りの警察署(生活安全課など)に相談し、必要であれば被害届を提出します。受理番号を控えておくと、カード会社への補償申請で提出を求められる場合があります。緊急性が低く「相談したい」という段階であれば、警察相談専用電話「#9110」も利用できます。

4. カードを再発行する

利用停止後は、カード番号とセキュリティコードが変わる再発行の手続きを行います。再発行には数日〜2週間程度かかる場合があるため、その間の決済手段(別のカードや口座振替の切り替えなど)も合わせて確認しておくと困りません。

5. 不正利用分についてカード会社に補償を申請する

不正利用と認められた取引については、カード会社所定の書類(事故報告書など)を提出し、調査を経て請求の取り消し・返金が行われる場合があります。申請の流れや必要書類はカード会社ごとに異なるため、連絡した際に案内される手順に従ってください。

クレジットカードの不正利用はどれくらい起きている?

一般社団法人日本クレジット協会の集計によると、2025年(1月〜12月)のクレジットカード不正利用被害額は510.5億円で、前年比8.0%減少しました。内訳は、インターネット通販などで番号だけが盗まれて使われる「番号盗用」が475.4億円で全体の93.1%を占め、スキミングなどによる「偽造カード被害」は7.2億円(1.4%)、その他の不正利用が27.9億円(5.5%)でした。クレジットカードショッピングの取扱額全体に占める不正利用被害額の割合を示す「不正利用発生率」は2025年通年で0.038%です(出典: 一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の集計結果について」2026年3月6日発表、2025年10〜12月期分・年間分)。

被害の9割以上を占める番号盗用は、実物のカードを盗まれなくても、フィッシングサイトへの入力やECサイトからの情報漏えいなどをきっかけに起こり得ます。カードが手元にあるから安全とは限らない、という点は押さえておく必要があります。

なぜ不正利用は起きるのか

番号盗用が被害の9割以上を占める背景には、カード番号・有効期限・セキュリティコードさえ分かれば、カード本体がなくてもネット決済ができてしまうという仕組みがあります。主な原因として指摘されているのは次のようなものです。

  • 本物そっくりのメールやSMSでカード会社・通販サイトを装い、偽サイトにカード情報を入力させる「フィッシング詐欺」
  • 利用したECサイトや店舗が不正アクセスを受け、保存していたカード情報が外部に流出する「情報漏えい事故」
  • 店舗の決済端末や自動精算機などにスキミング装置を取り付けてカード情報を読み取る手口
  • 番号の組み合わせを機械的に試して有効なカード番号を割り出す手口(本人認証サービスの普及で近年は成立しにくくなっています)

どの手口でも、利用者側の過失がないまま被害に遭うケースがあるため、「自分は大丈夫」と考えずに利用明細を定期的に確認する習慣が重要です。

補償はどこまで受けられる?確認しておきたいポイント

多くのカード会社は、不正利用による損害を一定の条件下で補償する制度(盗難保険・不正利用補償などの名称)を用意しています。ただし、「不正利用なら必ず全額補償される」と断定はできません。補償の対象・期間・条件はカード会社の会員規約によって異なり、本人に重大な過失があったと判断された場合(暗証番号をカードに書き込んでいた、他人にカードを貸していたなど)は対象外になることもあります。利用しているカードの公式サイトや会員規約で、以下の点を確認してください。

  • 不正利用に気づいてから何日以内の届出が補償の対象になるか
  • 補償の対象となる取引の種類(暗証番号を使った取引や一部のネット決済は対象外になる場合がある)
  • 補償申請に必要な書類(警察への届出受理番号の提出を求められる場合がある)
  • 家族カード・追加カードでの不正利用も補償対象に含まれるか

条件や手続きは契約しているカード会社ごとに異なるため、最終的な判断はカード会社への確認を前提にしてください。

再発させないためにできる対策

不正利用の多くを占める番号盗用は、日頃の習慣で発生リスクを下げられます。

  • カードの利用通知をアプリやメールで受け取る設定にし、決済のたびに内容を確認する
  • 本人認証サービス(3Dセキュアなど)を有効にしておく
  • フィッシングメール・SMSに記載されたリンクからカード情報を入力しない。公式サイトは検索やブックマークからアクセスする
  • 公共のWi-Fiなど暗号化されていない回線でカード情報を入力しない
  • 利用していないカードは解約し、保有カードの数を把握しておく

パソコンやスマートフォン経由の情報漏えいが気になる場合は、あわせてPCのセキュリティソフトの選び方や、VPNが必要かどうかの判断基準も確認しておくと、カード情報を含む個人情報全体の防御につながります。

困ったときの相談窓口

不正利用に気づいたときの相談先は、内容に応じて使い分けます。

  • カード会社の紛失・盗難専用窓口: 利用停止・再発行・補償申請はまずここに連絡します
  • 警察相談専用電話「#9110」: 事件性の判断に迷う相談や、被害届の提出前の相談に利用できます。受付時間は平日8時30分〜17時15分が目安で、それ以外の時間帯は音声案内や当直対応となる地域があります(詳細は各都道府県警察で異なります)
  • 消費者ホットライン「188」: 身に覚えのない請求やネット通販トラブルが絡む場合、最寄りの消費生活センターにつながります。受付時間は平日9時〜17時が目安です

いずれも、何が起きたか(日時・金額・やり取りの経緯)を簡潔にメモしてから連絡すると、相談がスムーズに進みます。

よくある質問

海外での利用履歴があるが、海外に行った覚えがない場合は?

国内にいながら海外の加盟店名で決済された場合も、番号盗用による不正利用の可能性があります。対応の流れは国内の不正利用と同じで、まずカード会社に連絡して利用停止の手続きを行います。

デビットカードやプリペイドカードでも同じ対応でよい?

基本的な初動(発行会社への連絡・利用停止)は共通ですが、デビットカードは銀行口座から即時に引き落とされる仕組み上、補償の範囲や返金までの流れがクレジットカードと異なる場合があります。カードを発行している金融機関の規約を確認してください。

分割払い・リボ払いの途中だった商品の支払いはどうなる?

不正利用と認定された取引については、未払い分の請求が取り消される、またはすでに支払った分が返金される場合があります。具体的な処理方法はカード会社の調査結果と社内規定によるため、申請時に確認してください。

同じカードで不正利用が繰り返される場合は?

再発行後に再び不正利用が起きた場合は、カード情報がどこかで継続的に漏えいしている可能性があります。カード会社に再度連絡するとともに、よく利用するECサイトのパスワードの変更や、フィッシング被害に心当たりがないかの見直しもあわせて行ってください。

まとめ

クレジットカードの不正利用に気づいたら、(1)カード会社へ連絡して利用停止、(2)利用明細の確認と記録、(3)必要に応じて警察への相談、(4)カードの再発行、(5)補償の申請、という順番で対応します。補償の範囲や条件はカード会社ごとに異なるため、「不正利用なら必ず全額戻る」と思い込まず、契約しているカード会社の規約を確認してください。判断に迷う場合は警察相談専用電話「#9110」や消費者ホットライン「188」といった公的な窓口も活用できます。

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